僕が好きな漫画、インベスターZで、主人公達はこんな事を言っていました。

「今後は医療が面白そうだから、進学するなら医学部に行くかな」

事実、近年の医療における発展はめざましいものがあります。

MRI画像技術、iPS細胞による再生医療、分子標的薬、様々な技術が開発され、数年前の医療とは全く別物になりつつあります。

こういった「医療業界の進化」は、細かくみるとほぼ無限に存在しますが、大きく分けると2つのベクトルしか存在しません。

gahag-0046631705

テクノロジーの進化

2016年、タイに旅行していた時の事です。

そこで日本で言うフォレストアドベンチャーみたいな、森の中をハーネス付きのロープで縦横無尽に駆け回るイベントに参加していました。参加している人たちはみんな欧米系で、イタリア、フランス、アメリカなど。日本人は僕達だけでした。

そこに「Innovation」と書いてあるTシャツを着た、細マッチョのイケメンがいました。

たまたま一緒に行動する事になったため、話しかけてみました。話をしていると、どうやらイスラエルで医師として働いているそうです。

彼は医師数年目の若手で、将来は新しいテクノロジーを見つけて起業するんだ、と意気込んでいたのを覚えています。

イスラエルは医療先進国です。もともと戦争が頻回にあり、そのため戦争に使われていた技術が高度に進化、それが医療に使われ、エコー技術などが発展しました。3D心エコーなども、イスラエルの技術だと聞いた事があります。

医療の発展の1つのベクトルは、テクノロジーの進化です。

上記にあげたMRI、再生医療、分子標的薬、これらは全て、「テクノロジーの進化」というベクトルにまとめられます。

このベクトルで新しい何かを生み出したい場合、研究者としての道をあゆむことになります。そして莫大な資金と時間、そして優秀な頭脳と部下が必要になります。

今の時代、資金はクラウドファンディングなどで集める事も可能かもしれませんが、人員と頭脳は努力してかき集めなければなりません。そのためには、自分が研究者としてある程度成功して、優秀な若手研究者が所属したくなるような機関の重役になる必要があります。そこで若手研究者を束ね、集めた資金を投入し研究に没頭しなければ道は開けません。

この発展ベクトルは数十年前から存在し、世界中の優秀な研究者達がしのぎを削っています。競争は激しく、その世界で勝ち抜くには相当な能力、努力、そして運が求められるでしょう。


包括的なサービスとしての進化

もう1つのベクトルが、医療を1つのサービスとして捉え、ユーザーにとっての利便性や体験を向上させる、というベクトルです。

今流行りの言葉で言えば、UIやUXというやつです。詳しくはUXデザインの教科書などを参考にしてください。

例えば、最近は「夕方から夜遅くのみ開業」という病院が増えました。これは定期処方やちょっとした処置などで通院したいサラリーマンが、仕事帰りにフラっと立ち寄れるよう、考えられたサービスです。

また、スマホで受診予約ができるサービスも存在します。これは「待ち時間を減らす」という手法でUXを向上させています。

これらのように、医療をサービス業と捉えた時、ユーザー(患者)の使いやすさや体験を向上する、新しい手法のサービスを展開する事は、新たな医療発展の1つのベクトルだと言えます。

これらは既存のテクノロジーの組み合わせとアイディアだけでできてしまう事も多く、参入障壁がそれほど高くありません。逆に言えば、テクノロジーの進化ほど時間と資金を要する事はあまりなく、アイディアと行動力に依存している部分が大きいと言えます。

しかし、ビジネスモデルとしては徐々に競合が現れる事が想定されます。そのため、ビジネスとして成功させるには、とにかく早く展開し先行者利益を得る必要があるでしょう。

最近出てきた包括的なサービスの進化として、遠隔医療が挙げられます。テクノロジーとしては通信速度の向上と、データの大量保存ができるようになったというだけであって、それほど高度なテクノロジーが必要なサービスではありません。

興味のある方は下記の記事も参考にしてみてください。

今後利用拡大が予想される遠隔医療と、それによる医師という職業の変化、および差別化について
https://note.mu/3n4rs/n/n3f4f9358aab6