ー20代女性、薬剤師を目指す学生(6年)さんからの質問です。

薬剤師の疑義照会時に、医師の対応が問題になることがあると聞いたことがありますが、先生は、薬剤師の方からの疑義照会に対してどのような対応を取られていますか。

後、医師への処方提案がどれだけされているかということも含めて教えていただきたいです。

薬剤師として働きだした時の参考にしたいと思いますのでよろしくお願いします

回答します。

僕個人としては大変ありがたく思っており、特に研修医の頃は薬に関する知識も乏しく、大変お世話になったおりました。感謝しております。

医師に対する薬剤師の疑義照会、処方提案について、僕以外の意見も集めてみようと思い、アンケートを実施しました。


ツイッターアンケート(N=1901人)

結果、下記のようになりました。


過半数の医師は、薬剤師さんのアドバイスが役に立つと思っていて、必要だと感じています。

具体的な人数を算出し視覚化すると、こうなります。

45

この結果で注目すべきは、「疑義照会のみ必要」と「不必要」を合わせると38%だということです。


疑義照会は将来、システムにより自動化される

疑義照会というのは、体重あたりの薬の量を間違えているとか、内服薬の内容が被っているとか、処方頻度や処方のタイミングを間違えているとか、飲み合わせが悪いとか、そういう「医師側の処方ミス」に対して、薬剤師サイドのチェックが入ることでミスを未然に防ぐためのものです。

僕はこの疑義照会という業務は、近い将来電子カルテの処方システムに組み込まれると思います。

内容がかぶる、処方頻度や量、飲み合わせなどの情報は定められた添付文書に記載されており、それらをデータとして組み込み、ミスがあった場合医師に「添付文書上、ここがこう間違っている」とアラートする。

データ量は多いですが、技術的にはそんなに難しくないはずです。そのうち電子カルテ開発会社が開発して、「疑義照会自動でやってくれるんで、こっちの電カルにしませんかえ」って営業に来ると思ってます。誰か作ったとしたら、きっと電カル会社に売れますよ。

あと極端なことを言えば、おそらく処方提案も技術的にはシステム化することができると思いますが、こちらは疑義照会と違ってポジティブセレクション(疑義照会はダメな組み合わせを弾くネガティブセレクション)なので、製薬会社との絡みとかもあって、本当に正しいシステムが開発されるかは疑問です。スポンサーに製薬会社がついていたりすると、その会社の薬を「より推奨」するような「配慮」が入りかねませんから。また、それを感じた病院が、そのシステムを信じて使うかもやや疑問です。

なので、僕はとりあえず疑義照会だけ近い将来システム化されると予想しています。

もし将来的に、疑義照会が薬剤師の業務から外れるとなると、医師ー薬剤師の連携業務において処方提案が主な業務となります。もちろん、処方提案と疑義照会以外にも細かい連携業務はあると思いますが。

しかし今回のアンケート結果、現段階で医師の38%はその業務は「不要」だと感じていることになります。

逆に言えば62%は処方提案も必要だと考えていることになるわけですが、この数字を多いとみるか少ないとみるか。

全てモノ、体験、情報がインターネットに繋がるIoT(Internet on things)の時代が来る、もう来ていると言われています。今後こういった業界がどう発展し、どう医療に組み込まれ、既存の業務がどう変わるのか。楽しみです。

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