春、病院ではとある現象が起こります。医師や研修医向けの不動産営業電話が、ナースステーションや電話交換手にかかってくるのです。

堂々と名乗る(偽名かもしれない)人もいれば、どこから見つけたのか大学の名簿を引っ張り出してきて「XX大学付属病院の◯◯先生からお電話です」と繋がれ、いざ電話に出ると不動産営業…というパターンもあります。

さて、このページを見ている方々はまさか買わないとは思いますが、少しでも心動きそうになってしまった人に、ざっくりとわかりやすくメモを残しておきたいと思います。

osaka is changing now

まず、彼らの営業ロジックは以下のとおりです。

  1. 医師は給与所得が多く税金が高い
  2. だから節税が大事
  3. 節税に不動産投資はもってこい
  4. なぜなら購入費用を減価償却して赤字にすることができ、かつ給与所得と合算できるから
  5. 不動産投資を始めるにあたって、ノウハウのある当社にお任せください
  6. この物件が良いですよ買いましょう

このロジックのどこが間違っているでしょうか。

まず1番は正解、確かに給与所得が多く税金が高額です。

次に節税が大事という点、これも1番が正しければ正解と言えます。

そして3と4番、不動産投資は損益通算ができて節税しやすい、これは半分正解です。日本では損益通算(利益と損失を合算)できる収益源として不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の4つがあります。語呂合わせで「ふじさんじょう」などと言います。

損益通算とは、ざっくり言えば「500万利益が出て300万経費がかかったら、利益は200万という計算で税金を払いましょう」ということで、不動産投資は確かに損益通算が可能であり、実際に赤字となり得る性質を持っていると言えましょう。

選択肢の5番、ノウハウがあるかどうか。これは確かめようがありません。実際、僕は興味があったので、いろいろ電話口でツッコンで質問をしてみました。嘘か本当か知りませんが、僕の出身大学で1つ上の先生でお客さんがいる、と漏らしておりました。まだこんな古典的な営業で騙される人がいるのは驚きです。

このロジックの圧倒的に間違っているのは、6番です。割高物件を超割高な値段で売りつけてきます。年間50万節税できたとしても、現在価値が500万しかない物件を1500万で購入してしまっては、全ては水の泡です。

ちなみに中古不動産の価格に関してはSUUMO、HOMES、楽待などのインターネットサービスで閲覧できます。ワケあり競売物件に関しては以下のサイトで確認できます。

不動産競売物件情報サイト
http://bit.sikkou.jp/app/top/pt001/h01/
官公庁物件情報
http://kankocho-athome.jp/

なお、3番と4番が半分正解で半分間違いにしたのは、6番が間違っているからです。割高物件に投資すれば、投資のトータルはマイナスであり、損益通算して赤字を出して節税できていたとしても、当然その節税額に比べてトータルのマイナスが大きく、全体では損失となり「節税にはもってこい」ではないと思うからです。

節税目的に不動産投資するくらいなら、黙って個人型確定拠出年金をやれば良いと思います。

勤務医でも今すぐできる3つの税金対策、資金対策テクニック
http://outer-storage.blog.jp/archives/67968427.html

というか、そんなに損益通算したいのなら、不動産所得じゃなくて事業所得でやれば良いのではないでしょうか。時代が時代なので在庫を抱えず店舗も持たないで事業を始められます。って言って、そのうち「医師向け事業所得損益通算で赤字出して節税しましょう電話セールス」が流行りだしたら笑いますが(営業側の利益をどうやって出したらいいんだろう…ペーパーカンパニーを高値で買わせるとか?)。

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僕の知り合いの不動産投資家を見ていると、緻密な計算と戦略に基づいた不動産投資は、確かに底堅い利益を生むようです。と言っても、年10〜20%程度のようです。僕は現時点で株式を選んでいて似たようなリターンなので、あまり乗り気ではありませんが、面白そうだなといつも思っています。DIYが好きな人だと、リノベーションも趣味になりそうですよね。

時代を読み解くならば、徐々に金利が上昇する事が予測される(既に世界の銀行株は上昇に転じている)ので、今のうちにできるだけ固定金利でローンを借りる、という意味では不動産投資は良いのかもしれません。

だとしても、自分で物件を探さないとダメだと思いますけどね。

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追記
不動産投資始めました。
くわしくはこちら