20代男性、医学部6年生さんからの質問です。 

春からの初期研修にあたって、おすすめの本はありますでしょうか?

回答します。

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振り返ると本当に基礎的なもの、特に急外で使うもの、抗菌薬の使い方辺りが初期では役に立ったと思っています。いくつかピックアップします。



1、外傷初期診療ガイドラインーJATEC

学生時代から持っている、知っている人もいると思います。かの有名なJATECです。

外傷ってやっぱり怖い、という思いをいつかすると思います。慣れてくると余計に「まあ大丈夫だろ」的な思考にかられます。そんな思考をぶっ飛ばして、システマティックに診療をする事で見逃しを防いでくれて、適切な治療を最速で始めてくれる、それがJATECです。ERにおける外傷を、初期段階からJATECに沿って診療すると力がつくと思います。

2年振り返って見て、最も「もっとはやく見ておくべきだった」と思う書籍です。



2、問題解決型救急初期診療

救急外来、初期の頃はわからない事だらけです。そんな時のバイブルに近いのがこちら。

主訴別に書いてあるので、サッとチェックしやすいです。主訴から除外すべき診断を順番に上げており、それを除外する方法も書いてあり、かつ診断後の治療まで書いていあります。もはやこの本だけで診断から治療までいけちゃうと思います。

ただ、少し本が古いので治療が微妙に古かったりします。その辺りのアップデートはUp to dateで自分で調べて追って見てください。こちらにも書きましたが、そういう勉強をした時はEvernoteで保存して後で見返す事をオススメします。



3、抗菌薬の考え方、使い方

有名な岩田健太郎先生(@georgebest1696)の本です。調べ物というよりは読み物で、当直中ヒマな時に寝ながら読めます。抗菌薬の使い方の本はたくさんありますが、まずとっかかりという点ではこの本はわかりやすく、読みやすく、挫折しにくいのでオススメです。

その後、みんなよく読んでいるこちらを読めば良いのではないでしょうか。


おそらく最も重要な事は、本を買いすぎない事です。

3冊くらいに絞って、まずはそれらをじっくり読む。覚える。実践で使い、自分のものにする。なので、他にもいくつか役に立った本はありますが、ここではあえて紹介しないでおきます。

また、何事もそうだと思いますが、初心者にとって何よりも勉強になるのは本ではなく経験です。これは間違いありません。実践に勝る勉強は無いと思っていた方が良いです。初心者だからこそ、とにかく場数を踏む。そこで自分で思う問題点を改善するにはどうしたら良いか、迷ってから本を読むと、そこにはまた違った世界があります。学生時代から勉強するのが無駄とは言いませんが、やはり実践を積んだ上で本から知識を学ぶと、より発見が大きいと思います。

以上、ペーペー2年目研修医の戯言でした。参考までにどうぞ。

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